画家のアトリエ

昨日は上野にフェルメールの絵を見に行った。そこそこ混んでたが、まあ人垣で絵が見えないほどでもなく。
フェルメールの現物を見るのは3枚目。「画家のアトリエ」はウィーンに行った時にちょうど貸し出し中で見られなかったという個人的な曰くのある絵。せっかく日本にきたので見ておかなければ。
もっとも、フェルメールの中では特に関心のある絵というわけでもなかった。やっぱり有名どころは「真珠の耳飾りの少女」と「デルフトの眺望」だろう。
ところが、同時代の他の画家の絵を延々見た最後に「画家のアトリエ」が展示してあるのを見ると、やはりフェルメールの絵は特異なものであるという印象を受ける。
スーパーリアリズム的とでもいうのか、背中を向けた画家の描写や前景のカーテンの質感など、見れば見るほど「これは写真だ」と思ってしまう。細部を拡大するとそれほど細密に描いているわけでもないのに、距離を置いてみるとえらくリアルに見える、この辺がフェルメールのマジックなのか。
帰ってきてから前の週の日曜美術館の録画を見る。完全な遠近法で描かれているのだそうで、CGで空間を再現してたのは面白かった。森村泰昌が例によって成り切り写真を撮ってた。森村さん、女装すると美輪明弘の顔になるのはいただけないが。
遠近法といえば、例えば写真レンズは完全な遠近法で描写できるように作られている。だから四角い壁に向かってレンズと画面を平行に配置すれば、あくまで四角い像を結ぶように出来ていて、4辺とも決して曲がってはいけない。だが、超広角レンズでこういう絵を撮ると端にいる人の顔が横に伸びたりする。これは光学的には正確なのだが、視覚的にはかなり違和感がある。実際人間の目は網膜も湾曲してて写真レンズのようには出来てない(魚眼レンズに近いか?)はずだし、知覚してるのは脳で合成、編集されたイメージだから、遠近法的に正確な、というのが必ずしも「正確な」絵ということにはならないような気もする。
それはそれとして、フェルメールは写真で見るより現物のほうがかなり良い。

1回寝て夜中にユーロ2004の開幕戦を見てたらポルトガルギリシャに負けてた。勝負弱いのは伝統らしい。しかし開催国、予選リーグは突破してくれないと。