読書

「鉄を削る」町工場の技術 小関智弘 ちくま文庫
1985年の出版だからかなり古い本である。機械加工の最新技術など把握しているわけではないが、この本の内容は少しも古くなっていないと感じる。マニュアル化による技術としての退化は著者の警告にも関わらずますます進行していると思わされる昨今である。

「この国のかたち」 司馬遼太郎 文春文庫
長いシリーズなのでなかなか手を出しづらい本だが、やはり読んでおかないわけにはいかないようだ。何だろうな、この国の今のかたちは。時々出てくる司馬遼の人物評価の基準として「健全なる精神」というものがあるように思う。塩野七生カエサルのようなものであり、司馬遼においては坂本竜馬だったりするわけである。しかしながら「この国のかたち」は、その対局にある精神によって多く形作られているようにも見える。

「以下、無用のことながら」 司馬遼太郎 文春文庫
後から編んだエッセイ集なので散漫な印象は免れない。いくつか拾えるものがあるかどうか。司馬遼太郎の小説は「項羽と劉邦」ぐらいしか読んでない。初期の「城を盗る話」(だっけ?)はあんまり良くなかった。